USBは日常的に使われる接続規格で、今では充電や電力供給にも広く使われています。ただ、見た目は似ているけれど、USBの種類や性能には大きな違いがあります。この記事では、特に代表的なType-AとType-CのUSBについて、その電力供給能力の違いをわかりやすく解説します。
Type-Aの基本仕様
- USB 2.0: 5V / 500mA (最大 2.5W)
- USB 3.0: 5V / 900mA (最大 4.5W)
- USB BC 1.2対応ポート: 最大 1.5A (最大 7.5W)
Type-Aポートは基本的に常に5Vで電気を供給しますが、出力する電流値によって供給できる最大電力が変わります。
デバイスが接続された直後、給電側(PCや充電器)と受電側(デバイス)の間で通信が確立する前は、安全のため電流が100mA(0.1A)に制限されています。
これに対し、通信が確立すると、USB 2.0のポートであれば最大500mA、USB 3.0のポートであれば最大900mAまで電流を流すことができます。
また、急速充電を可能にする規格である BC 1.2 に対応したUSBポートでは、より多くの電流(例えば最大1.5A)を供給できるため、スマートフォンやタブレットの高速充電に広く使われています。
Type-C(PDなし)の基本仕様
- 最大3A(15W)まで供給可能 (5Vの場合)
- 供給電流の「交渉」が必要:CCピンによる自己申告
- Type-C対応のポート・ケーブルが必要
CCピンのRp抵抗を使って、お互いに適切な電流を決めることで、安全に電力のやり取りをしています。設計次第で過電流が流れる可能性もあるため注意が必要です。
Type-C(PD対応)の仕様概要
- PD 2.0: 最大 100W(20V / 5A)
- PD 3.0 / 3.1 EPR: 最大 240W(48V / 5A)
端子間の通信(ネゴシエーション)で、「今必要な電圧と電流」で柔軟に供給される仕組みです。ノートパソコンのACアダプタでも、USB PDが標準的に使われています。
Type-AとType-Cの違いまとめ
項目 | Type-A | Type-C |
---|---|---|
最大電力(標準) | 約7.5W(5V / 1.5A) ※BC1.2対応時 | 約15W(5V / 3A) ※PD非対応時 |
最大電力(PD対応) | なし | 約240W(最大48V / 5A) |
電圧 | 固定の5V | 最大48Vまで変動可能(PD) |
電流通知 | なし | CCピン(Rp抵抗)による通知 |
コネクタ形状 | 一方向 | リバーシブル |
映像出力 | 不可 | Alt Mode対応で可能 |
通信規格 | USB 1.x / 2.0 / 3.x | USB 2.0〜4.x、Thunderbolt、PD |
まとめと次回予告
USB給電は単なる“5Vで動く”という印象では収まりません。Type-Cの台頭で給電仕様が複雑化するなか、設計の初期段階で電源要件を明確に整理する重要性が増しています。
Type-Cは柔軟性が高い一方で、電圧切り替えやケーブル認識など、設計上の注意点も多くあります。Type-Aはシンプルで扱いやすいものの、BC1.2への理解が不十分だと誤動作につながりやすいです。
➡ 次回は「Type-Aの電流挙動とBC1.2仕様の詳細」について掘り下げます。